ノスタルジック・クリスマス(2)

前回に引き続き、クリスマス飾りのご紹介です。

今回はクリスマス電球。前回のものよりも時代はさらにさかのぼり、昭和20年代に作られたものです。

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これらの電球は、かつて日本の一大産業でした。戦前から作られていましたが、北米への輸出が本格化したのは戦後、昭和20年代以降です。昭和40年代初頭にピークを迎え、その後は韓国や台湾の製品に押されて下降線をたどります。主に東京の品川周辺で、自宅と工場を兼ねているような零細メーカーが作っていたといいます。

 

電球本体はもちろん、彩色も手作業であったため、手作りならではの「ゆるい」味わいが魅力です。

インコいろいろ。

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卵から顔を出しているひよこ。 

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ちょっと怖いサンタさん。

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鯛。漫画「動物のお医者さん」で、西根家の蔵から海産物系のクリスマス飾りが出てくるエピソードがありましたが、おそらくこの時代のものだったのでしょう。

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とぼけたスノーマン。

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琵琶だかマンドリンだか、そういう楽器を抱えたタヌキ。

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前回ご紹介したオーナメントと同様、一度アメリカへ渡ったものの里帰り品です。製造から70年くらいは経っている貴重品。一部はうみねこ通販の古物カテゴリにも載せておりますので、ひと味ちがったクリスマスを演出したい方はぜひどうぞ。

 

ノスタルジック・クリスマス(1)

11月も終わりに近づき、世間ではクリスマスムードが高まってきました。この時期になると山下達郎やワムやジョンレノンらの声が街にあふれ、うみねこ店主としては前職の繁忙期の記憶がフラッシュバックするので微妙な気持ちになります…。

うみねこ博物堂ではそうしたクリスマスソングこそ流しませんが、ささやかながら、クリスマスの雰囲気を盛り上げる品をご用意しております。

 

とはいっても、どこにでもあるようなのでは面白くないので、ここは古物屋らしく、時代の流れをたっぷり感じさせてくれるようなものを仕入れてみました。

ツリーの飾りつけに使う、いわゆるオーナメントの類なのですが…

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これらはいずれも、職人さんが一つひとつ手作りしていた吹きガラスのオーナメントなんです。もちろん彩色も手作業です。昭和30年代の日本製で、当時アメリカに輸出されたものが里帰りしてきました。

 

サンタさんもいます。

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小鳥もいます。

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どれもびっくりするほど薄く、軽くできています。手作りの吹きガラスならではですね。こういう繊細で儚げな質感は、現代のプラスチック製品にはないものです。

それにしてもこんな50年以上前のガラスが、よくもまあ壊れずに残っていたものです。お取り扱いには充分ご注意ください。

実はさらに古い製品もありまして、それらについてはまた次回に!

ブリキの小物

たまには虫とガラスびん以外の古いものも…。

今日はブリキです。

ブリキのおもちゃにはプレミアがついてとんでもなく高価なものもありますが、当店はそうしたものは不得手なので、駄玩具と言ってよさそうな小物ばかりを扱っています。小さくて可愛らしいもの、というのが仕入れ基準です。それも積極的に買い集めているわけではなくて、たまに目についた可愛いものをつまむ程度なのですが、それでもいつの間にか増えつつあるのが謎です…。

 

これは長さ4cmほどの笛。フクロウだかスズメだか、何だかそんなようなもの。よく見ると絵柄は2種類あります。

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さらに小さな金魚型の笛。長さ3cmくらい。食品の缶詰のブリキを再利用して作ったらしく、内側には印刷されている部分が見えます。

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これはそれほど古いものではなさそう。薬の販促品の笛。(また笛…)

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胴径3.5cmほどの可愛らしいやかん。ちゃんと蓋も開け閉めできます。

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直径3cmほどの時計(のおもちゃ)。ゴムの輪っかがついていて、指輪のようにして遊べます。

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なんともチープな金魚のお皿。新幹線らしき列車が描かれているので、少なくとも1964年以降のものと言えそうです。直径約16cm。

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いずれもひとつ数百円~千円くらいと、お財布にも優しいブリキ製品でした。

カタゾウ速報

こんばんは。最近はすっかりカタゾウムシ屋と化しているうみねこ博物堂です。

先日フィリピン便が到着し、目新しいところから大急ぎで標本を仕上げました。一部ですが以下に紹介します。

 

これは定番のP. orbifer。写真ではわかりにくいですがキラキラとラメっています。

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P. orbiferには多様な色彩変異があります。これはあまり見かけない灰色のタイプ。

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時々お問い合わせを頂いていた、縞々模様のPachyrrhynchusも入荷しました。名前はわかりません。というか名前は付いていないと思います。

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これも初入荷の種です。名前は不明。

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ビサヤの種はあまり入ってきませんが、たまに入荷するものには面白いものが多いです。これも良いカタゾウですね。

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当店のお馴染みのお客様が、「メロン熊みたい」と評した種。確かに…。

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これも美麗種ですねー。当店初入荷です。名前はわかりません。(そればっかり)

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取り急ぎ、ばちばちと写真を撮って紹介してみました。本日の午後にすべて店頭に出しましたが、レアな種は1頭しかない場合がほとんどのため、売り切れの際はご容赦ください…。

 

 

古いガラスいろいろ

日本の古いガラス製品がいくつか入荷しています。

 

金魚のゼリー型。分厚いガラスで、気泡がたくさん入っています。大正~昭和初期のものと思われます。

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ガラスの海綿入れ。これも分厚い、とろとろのガラスです。気泡どころか不純物もけっこう入っていて、良い味わいを出しています。

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星製薬の咳止め&喉の薬、ホシオペラ。なんて素敵な名前。

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古い薬屋さんから発見されたデッドストック品で、未開封。外箱と説明書もついています。

星製薬はSF作家の星新一の実父、星一(はじめ)の興した製薬会社です。大正~昭和初期にかけて大きな発展を遂げたのですが、官憲の圧力や同業社の執拗な嫌がらせを受け、非常な辛酸を嘗めることになります。このあたりの理不尽な仕打ちについては、星新一「人民は弱し 官吏は強し」で知ることができます。読んでいてワナワナと怒りに震えるような内容なので、心して読みましょう。また、星一の立身出世を描いた「明治・父・アメリカ」も併せて読むと良いと思います。

 

今回紹介したものを含め、通販サイトにもいくつか追加しましたので、気になった方はチェックしてみてください。 

http://hakubutsudo.shop-pro.jp/

 

 

 

いわしスプーンの販売を始めました

何はともあれこちらをご覧ください。

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イワシ…ですね…。

 

このスプーンを製作したのはイワシ金属化さんという作家さんで、その屋号の通り、合金でさまざまな海産物を作っておられます。その作品はどれも超リアル。デザフェスや博物ふぇすに出展されているので、目にしたことのある方も多いでしょう。本物を型取りして鋳造するというのがこだわりで、これも本物のイワシの干物が原型になっています。

うみねこがこの品に遭遇したのは「いきもにあ」に出た時で、そのビジュアルに衝撃を受けました。だっていわしですよ。干物ですよ。しかもそれがピカピカのメタルになっている。

「なんか訳わからんけど超かっこいい!」と思って即買いしました。

その時は開店前でしたが、うみねこ開業の暁にはぜひ店頭で取り扱いたいと思い、その場で仕入れの話をさせて頂きました。そして今回、満を持しての投入となったわけです。

 

うみねこ通販にも登録しました。

いわしスプーン - うみねこ博物堂

 

このスプーンの何が良いって、手にフィットして非常に持ちやすい点です。ちょうど良い感じにくぼみがあって、親指がぴったりはまるのです。アイスクリームを食べるときに重宝します。

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スズの合金製で、特別なお手入れは必要ありません。食器洗い機に入れてもOKです。

イワシの干物でものを食べるというシュールな体験ができる逸品、ぜひデザートのお共にいかがでしょうか。

通販始めました

やるやる詐欺になりかけていた通信販売、始めてみました。

 

うみねこ博物堂 (←通販ページのトップに飛びます)

 

今のところ、お支払い方法は先払いの銀行振り込みだけで、クレジットカードはご利用いただけません。ごめんなさい。まだ商品の数は100にも満たない状態ですが、これから徐々に増やしていきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

手作りはたのし(3)

工作に使えるもの特集、さすがに今回で最終回です。

使い途をなるべく併記しておりますが、もちろんご自由にお使いください。

 

チェコのガラスボタンは以前もご紹介しましたが、他にも100年ほど前に英国で大流行した黒いガラスボタンもあります。

1861年にヴィクトリア女王が喪服に黒いボタン(ガラスではなく、ジェットと呼ばれる木の化石に彫刻したものだったそうです)をつけていたのがきっかけだそう。

黒いブラウスの中央にずらりと並べたら格好いいでしょうね。大振りなものはコートの一番上に。

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同じくヴィクトリア朝の頃の金属ボタンもあります。

 レースと組み合わせてコサージュに仕立てれば、気品ある装いになりそうです。

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海を越えてこちらはアメリカの品。18世紀中頃に作られたという陶製のビー玉です。

ワイヤーを巻いてペンダントに。 

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昭和のマッチいろいろ。先日、このマッチを買ってくださったお客様は、箱を表紙に見立てて豆本を作ってらっしゃいました。これは可愛い!

ページの代わりに付箋を収納してもいいですね。

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同じく昭和中期の「タイヤー印ミシン糸」と「ダルマ印手縫い糸」。

「タイヤー印」というブランドは今は見かけませんが、製造会社の藤井繊維工業(現フジックス)は現在もある大手メーカーです。木製の糸巻きがレトロで、これ自体も工作やインテリアに使えそう。

ダルマ糸の横田株式会社は1901年創業の老舗。ダルマ印ブランドも現役ですね。台紙をよく見ると、ものによっては「エジブト棉」になっているのが気になります。

どちらの糸も経年によるシミや汚れはありますが、強度はしっかりしているので使用に支障はありません。あえてシミの残る糸を使ってレースを編むと、アンティークのような仕上がりになります。現行品より安いので、縫物の練習に使っても。

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最後に、「これって何に使うんですか?」と聞かれる率ナンバー1、ヤマアラシの棘。標本の使い道を問われても困るのですが、何かに使えそうな形ではあります。

ちょっと何かすれば何かになるかも。何にします?(何多すぎ…)

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何を作ろうか、何が作れるか悩むのも、手作りの醍醐味です。

 工作とは長らく無縁なひとも、プロの造形作家さんもどうぞいらっしゃいまし。

手作りはたのし(2)

手作り特集第2弾は、人気のレジン工作に使えそうなものを中心にご紹介いたしましょう。

 

まずは、ラベルに「ダイヤ粉」「マキヱ粉」とある金属ラメ。

ダイヤ粉は現代もののラメと違って、ラメの形が均一でないのが特徴。レジンに封入したら面白いのではないでしょうか。マキヱ粉のほうは、かなり細かい粉末です。名前の通り、蒔絵に使うんでしょうね。

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レジンといえば、こんな本もご用意しました。

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実際に作ってみたレジン鉱石も見本として置いてありますので、参考にどうぞ。

 

このレジン鉱石に時計の歯車を封入すれば、流行りのスチームパンク風になりますね。

…時計に蒸気機関は使われていませんが…。

こちらは古い小瓶に腕時計用の小さな歯車を詰めたもの。

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図工の時間にお世話になった…かもしれない、牛乳ビンのフタ。アメリカ製です。

レジンやニスで耐水性をつけてブローチにするとか、竹串を刺して車のタイヤにするとか。こちらもブローチに仕立てたサンプルあります。

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ドイツ製のアンプル瓶なんてのもあります。くびれに紐を結んで、吊り下げ型の一輪挿しにするのが妥当な使い方でしょうか。ラベンダーなどのポプリを詰めてもよさそう。 

アンプルの口を閉じるにはバーナーが必要ですが、それよりは綿栓をして紙で封緘するなど、密閉しない方が破裂の心配が少ないと思います。

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こうしてみると、当店にはおかしなものが色々ありますね…。

探せばまだ出てきそうです。次回をお楽しみに。

手作りはたのし(1)

 秋も深まってまいりました。芸術の秋です。

いらすとや=サンもそう言ってます。

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「芸術の秋」のイラスト文字 | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

うみねこ博物堂には工作に使えそうな物がいろいろありますので、思いつくままにご紹介いたします。

 

まずは、コラージュに使えそうな鳥のダイカットシール。50年ほど昔のアメリカ製で、切手みたいに裏側に水をつけて貼るタイプです。

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こっちは貼られる側にいかがでしょうか。フリンチという遊びに使うカード。1~15までの数字が記されています。栞やボタン台紙に。

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コラージュというよりは、ノートなどの表紙にバーンと貼りたいのが、明治時代のマッチラベル

当時、マッチは日本の主要な輸出品目のひとつでした。江戸時代に浮世絵の版木を彫っていた職人さんが、ラベルを作る仕事を担ったのだとか。輸出先にあわせてゾウやらパイナップルやら、独創的な図案が作られました。

本物はもったいない? カラーコピーすれば大丈夫です。

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ばらばらになってしまった洋書のページもあります。

本としての役割は終えてしまいましたが、味わいのある古紙を利用した小物を作るのはいかがでしょう。静物の写真を撮る時に、背景に使うのもいいですね。 なお、書名は『Tales of Arabian Nights』一千一夜物語です。

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紙工作が苦手な方は、お菓子作りはいかが? 

妙に虫っぽい型だけでなく、チョウ型やセミ型もあります。虫推し。

西洋では季節を知らせる縁起物らしいですね。ロブスター型はゼリー寄せ(煮凝り)に使うそうです。

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ほかにもまだまだありますが、話が長くなるので続きは次回。