可愛い洗眼器

色々とおかしなものを並べているうみねこ博物堂ですが、お客様に「これ何?」と尋ねられることの多いものがこちらです。古いガラス製品を集めている方なら、骨董市などで見かけたことがあると思います。

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主に欧米で使われていた洗眼器です。あちらではEye bath(アイバス)とかEye wash cup、あるいは単にEye cupなどと呼ばれています。カップに水や洗眼薬を入れて目を洗う道具です。小林製薬の「アイボン」みたいな使い方をするもの…といえば分かりやすいかもしれません。

 

洗眼器の起こりはかなり古く、16世紀のヨーロッパではすでに原型が出来上がっていたと言われています。あまり衛生環境のよくなかった古い時代においては、今よりもずっと眼疾が多く、こうした道具の需要が高かったのでしょう。

 

写真のような脚のあるタイプは、19世紀から20世紀はじめにかけて多く作られました。色とりどりでコレクション性が高く、欧米には熱心な収集家も少なからずいるようです(なぜか日本にはほとんどいないようですが)。

 

さて、以下に当店で取り扱っている洗眼器の一部をご紹介します。

涼しそうな色のもの。

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暖色系。

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緑色。乳白ガラスのものも作られていました。

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白系。表面に玉虫色の光沢が出るように加工をしたものもあります。

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いずれも高さは5~7センチほどです。小さくて可愛い! よく見るとカップや脚の形に微妙な違いがあり、収集癖のある人間を無駄に刺激します。

基本的な形は揃っていながら、色に多くのバリエーションがある…なんだかあの虫を思い出します。

 

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そうです! カタゾウムシです。

小さな体と、無限にも思える色彩のバリエーション。

 

洗眼器は、まさにガラス界のカタゾウムシと言え…ないか、やっぱり。

 

ともあれ、あまりメジャーとは言えないこのガラス、いくつも店頭に並べているお店はそうそうないと思いますので、ご来店の際はぜひ手に取って眺めてみてくださいね。