ツノゼミ入荷しました

世界には名前がついているものだけでも100万種くらい昆虫がいますが、その中でも極め付きの奇虫がツノゼミでしょう。

まずはこちら、変てこなツノゼミの代表格たるヨツコブツノゼミ

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海外の昆虫を扱った本にはたいてい載っている有名種です。この突起で一体何をしたいのかはよくわかりませんが、こういうなりで繁栄しているからには何かしら理由があるのでしょう。

 

こちらはカサホネツノゼミ

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細長い棘があっちゃこっちゃに伸びています。洗濯物を干すのに便利そう。長い角にも目がいきますが、ツノゼミとしては奇妙なほど眼が出っ張っているのも面白い(たいていのツノゼミは小さな目でうつむき加減です)。角は長いですが視界はよさそう。

 

このHeteronotus属にはハチマガイツノゼミ属という和名が当てられていますが、なるほどハチに擬態している種が多く知られています。

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これはどちらかというとアリに似ていますね。アリには咬んだり針で刺したり蟻酸を吹きかけてきたりするものが多くいるので、捕食者にはけっこう嫌われています。アリに姿を似せる生き物が多いのもそのためです。

 

これはちゃんとハチに擬態していますね。

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君はなんだろうね…やっぱりハチかね?(これも同じHeteronotus属)

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このお二方はもはや何だかわかりませんね。

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奇抜な姿で生き物好きを唸らせるツノゼミたちですが、実際の大きさは数ミリから1cm前後のものがほとんどです。最大の種は2cmちょっとあるものの、それは例外中の例外。当店で初めて現物をご覧になった方はたいてい、「こんなに小さいの!」と驚かれます。大きく写した写真を見慣れていると、どうしてもそう感じてしまうのでしょう。

 

その例外のツノゼミはこちら。Hemikyptha属の一種(たぶんH. marginata)。ちゃんと測っていませんが、20mm以上はあるでしょう。

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冒頭のヨツコブツノゼミが4mmほどですから、この種がどれほど大きいかわかると思います。

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堅牢な体に、長く伸びた角が特徴的です。この角は天敵の鳥が飲み込みにくいように進化したのではないかと思います。

 

現在、うみねこ博物堂の店頭には30種弱のツノゼミ標本があります。いずれも個性的で面白い虫たちですので、ご来店の際はぜひご覧になってみてください。虫めがねもご用意してお待ちしております。