動物たちの里帰り
今回は日本製の古い陶器のご紹介です。
かつて戦前から戦後にかけ、日本のメーカーは陶製品をせっせと作っては欧米向けに輸出しており、それは大きな産業となっておりました。もちろん普通の食器も多かったのですが、当店が特に好きなのはちょっとした小物類です。
行く先々で見つけては仕入れてしまうので、少しずつ増えてきました。
SPセットと呼ばれる調味料入れ、灰皿、単に置き物として作られたものなど。今見ると変てこで妙な味わいのあるものが多く、絵付けもいい加減だったりして、なかなか愛すべきものたちです。
たとえばこれ。にわとりのSPセットです。
なぜか上目遣いで、良い表情をしています。
底には「MADE IN OCCUPIED JAPAN」とあり、戦後の統制下に置かれていた時代に作られたものであることがわかります。
ゾウの灰皿。なぜ水玉にしたのか…。底には「MADE IN JAPAN」の印があります。
こちらは上品で、可愛らしい置き物。赤ちゃんを連れてきたコウノトリです。
これもオキュパイドジャパン。
可愛い置物いろいろ。
今回ご紹介したものは、いずれもアメリカに一度輸出された品で、いわば里帰りしてきたものたちです。70年の時を経て再び日本の地を踏むことになった動物たち。次はどんな人たちに貰われてゆくのでしょうか。