古い紙もの
日本の古い紙ものがいくつか入荷しましたのでご紹介します。
小さな小さな花札。札の大きさは24×14ミリ。絵柄はちゃんとしていて、遊べます。昭和30年代くらいのもの。
こちらは「魚釣りゲーム」という子供のおもちゃ。昭和20年代くらい。
中には点数の書かれた絵札が入っています。
遊び方はいろいろあるようですが、こういうルールが説明されていました。これ、覚えるの大変そうなんですけど…。
遊び方はともかく、札の絵柄が可愛いんですよ!
このタコがお気に入り。印刷のずれも味わい深いです。
漁師さんは別格らしいです。
ところで、タコが鉢巻を締めて日の丸の扇子を持ってる図案は、いつごろからあるんでしょうかね。
以上、レトロで可愛い紙のおもちゃでした。
ゾウムシが好き
カタゾウムシが一部で話題になっていますが、ここでその他の地味なゾウムシも見てみましょう。(何この唐突感)
Rhytidophloeus rothschildi。マダガスカルに生息する、体長が3cm以上もある立派なゾウムシです。いかつい! しかもおしゃれ!
Brachycerus ornatus。砂漠に適応した種で、強固な装甲に身を固めています。こっちのほうがむしろ「カタ」ゾウムシという気も…。
Aegorhinus albolineatus。チリ産。これもたぶん堅いです(適当)。
Rhinotia sp. アケボノゾウムシ科Belidaeに属する、原始的な形態のゾウムシ。オーストラリア産。
鞘翅が妙に出っ張っているフィジーのゾウムシ。
緑色のラインが美しいブラジルのゾウムシ。珍品っぽいオーラを出していますが(ただの主観)、詳細は不明。
上面が妙に平らなペルーのゾウムシ。Homalinotus nodipennisというちゃんとした名前はありますが、店主は勝手に「踏まれたオオゾウムシ」と呼んでいます。
マダガスカルのヒゲナガゾウムシ、Tophorderes frenatus。 マダガスカルって、ゾウムシに限らず白黒の独特な配色の虫が多いですね。なぜだろう。
華やかなカタゾウムシ類に比べると、なんだか黒や茶色のやつばかりですね…。しかしどれも造形が魅力的で、立体としての面白さがあります。こういう甲虫、店主は大好きです!
まあ店主の個人的な好みはともかくとして、ゾウムシは甲虫の中でも三指に入るほど種数が多く、被子植物の発展とともに猛烈な多様化を遂げたグループです。集め始めると本当に面白い。顔も可愛いし。←重要
一見地味な連中が多いですが、時にはカタゾウ以外のゾウムシにも目を向けてみてはいかがでしょうか。楽しいですよ。
カタゾウ仕上がりました
先日から作っていたカタゾウムシの標本を、店頭のドイツ箱に収めました。満タンです!
今回入った種を中心に、店主お気に入りのカタゾウをいくつかご紹介します。
チャモンカタゾウムシPachyrrhynchus ochroplagiatus。斑紋は少ないですが、黒くてつるんとした形が独特な種。流通量はあまり多くありません。
アルゴスカタゾウムシP. argus。茶色い蛇の目紋が渋い。
ハナカタゾウムシP. congestus。地色が青っぽいタイプ。
P. congestusは普通種ですが、斑紋の変異がとても多様なことで知られています。
これもP. congestus。前胸背が青、鞘翅が緑というあまり見かけない型です。
これは似たようなパターンの蛇の目紋ですが、別種と思われます。種名はわかりません…。
P. orbiferの白っぽい型。本種の色彩変異の幅は驚異的で、ギラギラにラメっているのから真っ黒なものまで、様々なものがいます。てんでばらばらな模様の標本を前にすると、果たして同一種なのかと首をかしげたくなることもしばしばです。
P. inclytus。普通は真っすぐに伸びる縦筋が、途中で途切れています。
今回取り上げた種については、いずれも在庫は1、2頭しかありませんので、気になるものがありましたらお早めにどうぞ。
カタゾウ標本作ってます
こんばんは。
ちょっと前に、「8月には新たにカタゾウが入荷します~」なんてご案内をしていたのですが、申し訳ありません! だいぶ遅れてしまいました。
数日前にやっとフィリピン便が届き、現在大急ぎで標本を作っております。夜なべ仕事です。
(ラベル付けと同定待ちの標本たち)
これらの新着品は、9月9日(金)には売場に出せると思います。よろしくお願いいたします。だいたい50~60頭くらいの予定です。
奥村巴菜さんのお皿が入荷しました
陶芸家の奥村巴菜さんが納品に来て下さいました。うみねこの店内ですごい存在感を放っている、ヒメシロコブゾウムシ様を生み出した方です。
今日窯から出したばかりという虫の絵皿を納品して頂きました! 4種類、各1点ずつの入荷です。
カタゾウムシ。
オウサマゾウムシ。
アフリカンなツノハナムグリ。
釉薬のつやが斑紋を浮き上がらせてます。
安定の良い三本足。
いやー、どれも素敵すぎる~!
さっそく売場に並べたのですが、むしろ私が欲しい! ちなみにお値段は各4300円。お手ごろです。
布ものもあります。カタゾウムシのランチバッグ。これも可愛すぎますね…
トートバッグ。布地はやや薄目で、小さくたためばバッグの中に入れておいても場所をとりません。お出かけのお共にどうぞ。
奥村さんの作品はどれも生き物への愛情があふれていて、そこも大きな魅力のひとつとなっています。
いずれも手作り品につき、少量の入荷です。お取り置きも承りますので、ご購入をご希望の方は、事前に在庫をお問い合わせの上お越しくださいませ。
「わくわく昆虫記 憧れの虫たち」入荷しました
今年は自然科学系の本の当たり年ですね。魅力的な新刊が続々と出版され、生き物好きにとっては実り多き年と言えそうです。
先日、「だから昆虫は面白い」をご紹介しましたが、その丸山宗利先生の著作が新たに入荷しました。
「わくわく昆虫記 憧れの虫たち」 文・丸山宗利、写真・山口進
これまでの本とは異なり、学術的な解説は控えめにしつつ、それぞれの虫について丸山さんが幼い頃からの思い出を中心に綴っています。とても抒情的で、子供の頃の思い出特有の、楽しさと懐かしさ、そして時にはもの寂しさが同居しているような情感に満ちています。そして虫好きの、あるいは虫好きだった大人の心に響きます。
驚いたことに、本書に使われている山口進さんの写真はほとんどが撮りおろしなのだそうです。掲載する種が決まってからその虫を探し、撮影することで、丸山さんの子供の頃の視点と気持ちが想像できると考えたからとのこと。なんという丁寧な作りでしょうか。
「ジャポニカ学習帳」の表紙を長年手掛けられた山口さんですから、その写真の素晴らしさについてはお墨付きです。この贅沢な一冊、ぜひお手元にどうぞ。
「だから昆虫は面白い」入荷しました
丸山宗利先生の新刊、「だから昆虫は面白い くらべて際立つ多様性」が入荷しました。
本書は以下の3章に分かれており、それぞれに魅力的な昆虫の写真が満載です。
第1章 こわい・すごい・珍奇な虫
第2章 アリ・シロアリ・それらの共生者
第3章 きれいな虫・おしゃれな虫
著者のお気に入りの分類群からさらに選りすぐりの種を取り上げ、深度合成による鮮明な標本写真で図示しています。また、生態写真も充実しており、よくもこんな瞬間を切り取れるものだと感嘆します。珍種も盛りだくさん。
特に第2章の写真は圧巻! 異形の好蟻性昆虫がたくさん出てきて、丸山先生の面目躍如といった感じです。
若手の分類学者による新種発見エピソードも各所に織り交ぜられ、胸が高鳴ります!
今年出版された昆虫本の中で、間違いなくベストスリーに入る良書です。 価格は1,500円(税別)。この内容でこのお値段は破格と言えるでしょう。
本日からうみねこの店頭に並んでいます。ご来店の際はぜひお手に取ってご覧くださいませ。
きらめくハチ
こんばんは。関東地方では台風による大雨もピークは過ぎたようですね。久々の猛烈な雨で、ここからそう遠くない境川は氾濫寸前というところまでいったようです。皆様の地域は無事だったでしょうか。
さて、今日はハチの標本を取り上げてみたいと思います。
ハチといえば黄色と黒の縞模様…というイメージが強いかもしれませんが、中にはピカピカに輝く美しい種もいるのです。
こちらはシタバチの一種。このグループは南米で繁栄しており、その名の通り長い口吻をもっています。
ゴキブリを狩るセナガアナバチの一種。
このハチの興味深いところは、ゴキブリを一撃で斃さず、運動能力を少し残す程度の麻酔をする点にあります。麻痺したゴキブリはハチに引っ張られれば歩くことができるので、巣穴までハチに誘導され、ぼんやりと連れて行かれてしまいます。ハチは巣穴にゴキブリを運びこむと卵を産み付け、孵った幼虫はゴキブリの体内を食べて成長します。
この個体は東南アジア産ですが、セナガアナバチの仲間は日本にも分布しています。中でもサトセナガアナバチは分布を広げつつあるようで、近年は東京都や神奈川県でも見かけるようになりました。
こちらは青い金属光沢をもつヒメバチ。ヒメバチって地味なものが多いイメージでしたが、こういうのもいるんですね。チリ産。
きらめくハチは身近なところにもいます。これはオオセイボウ。日本各地にみられ、ドロバチ類の巣に寄生します。
以上、甲虫に負けず劣らずきらめいているハチたちでした。
日本の豆・鳴く虫ハンドブック販売中です
お手ごろ価格で楽しいハンドブックを続々と出してくる文一総合出版さん。最近出たタイトルをご紹介します。
日本の豆ハンドブック。
日本在来の豆を約200種ほど取り上げ、見やすい白バック写真で図示し、その来歴について解説した本。多種多様な形、色、模様。日本の豆ってこんなにたくさんあったのかと驚かされます。
続いて、鳴く虫ハンドブック。
これはすごい! このサイズの本なのに幼体の写真まで全部入ってます。とにかく1ページあたりの情報量が多い。直翅類についてはこれまでにさまざまな本が出ていますが、本書はそれらの中でも図抜けてコスパの高い本と言えるでしょう。あ、日本の伝統的な虫かごも色々紹介されていて、これは古物屋として楽しめました。
文一のハンドブックシリーズには、これら以外にも魅力的な本がたくさんあります。全部ではありませんが色々取り揃えておりますので、ぜひうみねこの新刊本の本棚をチェックしてみてくださいね。