虫っぽい?

チェコ製の古いお菓子の型が届きました。

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パンとか葉っぱとか実とか、そういったものを模したデザインだと思います。わりと小さめなのも良い感じです。しかしこの型、どうも虫っぽく見えて仕方がないのです。

これとか。

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これなんかどう見ても虫ですよ! どんぐりから出てきたもの、こういうの。

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これを作ったメーカーの人、ごめんなさい…。

 

宝石象虫

カタゾウムシも人気ですが、インドネシアのホウセキゾウムシ類も負けず劣らず美しいものです。

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イベントなどでこれらの標本を並べていると、「これ、色を塗ってあるんでしょ?」と一度ならず訊かれます。いえいえ、これはすべて自然の色なんです。

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確かにそう思わせるほどの鮮やかな色使いですね。

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脚にもちゃんと気を配っておしゃれをしています。

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色だけでなく、顔が可愛いというのもゾウムシの魅力的な点です。

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ルーペで拡大してみると、一見絵の具でも塗ったかと思わせる色は、ごく小さな鱗片が集まって出来上がっていることがわかります。ラメっぽい独特の輝きをもつ種もいて、ため息がでるほど美しい昆虫です。

ガラスの独楽

店主は古いガラスびんが大好きですが、こういう小物にも目がありません。

古いガラスのコマです。

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サイコロ独楽とでもいうのか、数字が刻まれていて、サイコロのような使い方ができるものが多かったようです。

 

これは数字のほか、下面に「JAPAN」というエンボスがあります。

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ちょっと華奢なタイプ。

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多少の色落ちや欠けはご容赦ください。

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ガラスでできたこの手の独楽は、昭和初期から戦後しばらくまで作られていたようです。小物が好きな上に「ガラス製品を仕入れてしまう病」の店主が、この手の物にやられないわけがありません。これから少しずつ品揃えが増えてゆくと思われます。

 

モアの椎骨レプリカ

うみねこ博物堂にあるもののなかで、特に古いものがこちら。

モアの椎骨の石膏製レプリカです。

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このレプリカはドイツの某博物館の倉庫から発掘されたもので、発見時の状況から推察すると、フランスのヴェロー商会 Maison Verreauxが製作したものと思われます。ヴェロー商会が廃業したのは1850~1860年代と言われているので、少なくともこのレプリカは150年以上前の年代物と言えそうです(台座とラベルは後付けです)。

今から数年前、博物館の収蔵品整理の際、廃棄されそうになっていたこれらの品が救い出され、巡り巡ってうみねこにやってきたのです。

 

モア(類)はかつてニュージーランドに生息していた巨大な鳥です。6属10種が知られており、どの種も羽は完全に退化して飛ぶことができませんでした。マオリ族が上陸してからは急速に数を減らし、1500年代頃には絶滅したと言われています。 

モア - Wikipedia

ジャイアントモア - Wikipedia

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画像はwikipediaより

 

この石膏レプリカ、全身ぶんで高さ3メートル近くになる展示品だったそうで、一つひとつの椎骨もそれなりの大きさがあります。こんなでっかい鳥が地上を闊歩していた時代があったのです。

これの椎骨は高さ7cmほど(台座含まず)。

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これは高さ11cm。

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これは13cmくらいです。

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石膏なので重量感もあり、例えば本棚などに置いておくとかなりの存在感があります。

謎めいた巨大な鳥が姿を消して久しく、この石膏型も過去の遺物ではありますが、かつて地上に存在した巨鳥に思いを馳せるためのよすがとして、ひとつお手元に置いてみてはいかがでしょうか。

 

追記:うみねこ通販にも登録しました。こちらからご覧ください。

チェコスロヴァキアのマッチラベル

こんばんは。そろそろこのブログ内の「可愛い」という言葉禁止令を出そうかと思っているうみねこ博物堂です。しかし可愛いと言えない場合は代わりに何と言えば良いのか…。可愛いものは可愛いし。良い言葉を募集中です。

 

さて、今回はチェコスロヴァキアの古いマッチラベルのご紹介です。切手と同様、様々なデザインが目を楽しませてくれます。

イケメンにわとり。

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ブタトウモロコシと買い物をするトウモロコシ。謎…

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ザ☆ハエ。

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インダストリ!

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少年と食べ物いろいろ。可愛い!(あっ言っちゃった)

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他にもいろいろ、数枚ずつのパックにして販売しております。

 

チェコスロヴァキアでは、第二次大戦後から共産主義崩壊までの期間に、膨大な種類のマッチラベルが生み出されました。特に1950年代半ばからはマッチラベルの熱狂的なコレクターが多く現れ、その蒐集ブームは1968年の「プラハの春」あたりで最高潮に達します。その後、ソビエトによる締め付けが厳しくなるにつれて徐々に新デザインは減ってゆくのですが、最終的なマッチラベルの種数はおよそ8,000種にもなるそうです。

 

当時の時代背景や、多様な絵柄の機能、マッチラベルと人々の関わりなどについては、中川可奈子氏による論考が非常に詳しく、参考になります。興味のある方はぜひご一読ください。

PDFリンク:

チェコスロヴァキア製マッチラベル:小グラフィックの中のコミュニケーション 

 

お手紙に貼ったり工作の材料にしたり、色々遊べるマッチラベル。もちろん単純に集めても楽しいものです。温かみのあるデザインの数々には今でも不思議な魅力があります。お好みの絵柄をじっくりと探してみてください。

 

大手町インセクトフェアに出展します

こんばんは。最近はすっかり昆虫標本屋と化しているうみねこ博物堂です。

昆虫に力を入れているのは確かですが、へんな古物や雑貨も売っていますので、ご来店の際は虫だけでなく、店内も一通りご覧いただけますと嬉しいです。

 

と言っているそばから虫イベントのお知らせです。

9月22日(木)、大手町はサンケイプラザでインセクトフェアなるイベントが行われます。

昆虫標本の即売会としては世界最大規模で、サンケイビルの3階と4階を借り切って行われます。午前10時開場。うみねこは4階の一番大きな部屋の、入って左の方の壁際に卓を出す予定です(会場案内図には小野広樹名義で載っているかも?)。

 

今回、うみねことしては主に未展足のパック標本を販売します。だいぶマニアックな甲虫が中心で、カタゾウムシのお買い得品も少しあります。古い博物画も少々。虫を買われる方は、お持ち帰り用の入れ物(タッパーとか針刺し品を入れる標本箱とか)をご持参ください。お待ちしております。

ニクバエ擬態のゾウムシ

天敵からの攻撃を避けるため、他の生き物そっくりに擬態をしている昆虫は数多く存在します。例えばテントウムシやホタルといった味の悪い虫や、毒針を持っているハチは擬態のモデルとして「人気がある」ようです。いずれも鳥が嫌がって食べようとしないので、そうした虫そっくりの姿をとることで生存率が上がるのでしょう。

 

さて、今回取り上げるのは、ニクバエそっくりの模様をもつゾウムシ(クモゾウムシ類)です。南米で多くみられます。

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これは別種。

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赤い複眼や、腹部の黒と灰色の縞模様など、ニクバエの特徴を驚くほど正確に「再現」していますね。

 

これも別種。

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これも別種。

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どれもフレンチギアナの同じ地域で得られたものです。熱帯の多様性恐るべし。

以前、生きているこの類のゾウムシの動画を見たことがありますが、チョコマカと素早く動き、本当にハエそっくりでした。野外で見たら間違いなく騙されるでしょう。

 

驚いたことに、ヒゲナガゾウムシ科にもニクバエそっくりな姿をしているものがいます。(これ以外にも数種でハエ擬態のものがいることを確認しています)

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前胸背の縞模様や、翅の筋まで「再現」しています。ちっぽけな甲虫ですが、生物の進化の面白さが凝縮されていますね。

そもそも、毒も棘もないニクバエに擬態するメリットは何なのか? 以下のサイトに仮説が述べられています。

http://www.biodiversityinfocus.com/blog/2012/08/09/new-species-wants-you-to-see-no-weevil/

ニクバエ科のハエは非常に素早く、鳥にとっては捕食の成功率が低い獲物です(実際、ハエ類はあまり鳥に食われていないというデータがあるようです)。追い回した挙句に捕り損ねてエネルギーを無駄にするより、もっと簡単に捕れる餌を探した方が効率的なので、ニクバエ類は鳥の標的になりにくいのでしょう。

 

そもそも、クモゾウムシ類やヒゲナガゾウムシ類はとても素早く、模様を抜きにしてもハエっぽい動きをします。この2グループの中で特にハエ擬態の種が多く進化しているのも頷ける気がします。

 

古い紙もの

日本の古い紙ものがいくつか入荷しましたのでご紹介します。

小さな小さな花札。札の大きさは24×14ミリ。絵柄はちゃんとしていて、遊べます。昭和30年代くらいのもの。

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こちらは「魚釣りゲーム」という子供のおもちゃ。昭和20年代くらい。

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中には点数の書かれた絵札が入っています。 

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遊び方はいろいろあるようですが、こういうルールが説明されていました。これ、覚えるの大変そうなんですけど…。 

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遊び方はともかく、札の絵柄が可愛いんですよ! 

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このタコがお気に入り。印刷のずれも味わい深いです。

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漁師さんは別格らしいです。

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ところで、タコが鉢巻を締めて日の丸の扇子を持ってる図案は、いつごろからあるんでしょうかね。 

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以上、レトロで可愛い紙のおもちゃでした。

 

ゾウムシが好き

カタゾウムシが一部で話題になっていますが、ここでその他の地味なゾウムシも見てみましょう。(何この唐突感)

 

Rhytidophloeus rothschildiマダガスカルに生息する、体長が3cm以上もある立派なゾウムシです。いかつい! しかもおしゃれ!

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Brachycerus ornatus。砂漠に適応した種で、強固な装甲に身を固めています。こっちのほうがむしろ「カタ」ゾウムシという気も…。 

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Aegorhinus albolineatus。チリ産。これもたぶん堅いです(適当)。

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Rhinotia sp. アケボノゾウムシ科Belidaeに属する、原始的な形態のゾウムシ。オーストラリア産。

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鞘翅が妙に出っ張っているフィジーのゾウムシ。 

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緑色のラインが美しいブラジルのゾウムシ。珍品っぽいオーラを出していますが(ただの主観)、詳細は不明。

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上面が妙に平らなペルーのゾウムシ。Homalinotus nodipennisというちゃんとした名前はありますが、店主は勝手に「踏まれたオオゾウムシ」と呼んでいます。

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マダガスカルのヒゲナガゾウムシ、Tophorderes frenatusマダガスカルって、ゾウムシに限らず白黒の独特な配色の虫が多いですね。なぜだろう。

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華やかなカタゾウムシ類に比べると、なんだか黒や茶色のやつばかりですね…。しかしどれも造形が魅力的で、立体としての面白さがあります。こういう甲虫、店主は大好きです! 

まあ店主の個人的な好みはともかくとして、ゾウムシは甲虫の中でも三指に入るほど種数が多く、被子植物の発展とともに猛烈な多様化を遂げたグループです。集め始めると本当に面白い。顔も可愛いし。←重要

一見地味な連中が多いですが、時にはカタゾウ以外のゾウムシにも目を向けてみてはいかがでしょうか。楽しいですよ。

 

カタゾウ仕上がりました

先日から作っていたカタゾウムシの標本を、店頭のドイツ箱に収めました。満タンです!

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今回入った種を中心に、店主お気に入りのカタゾウをいくつかご紹介します。

 

チャモンカタゾウムシPachyrrhynchus ochroplagiatus。斑紋は少ないですが、黒くてつるんとした形が独特な種。流通量はあまり多くありません。

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アルゴスカタゾウムシP. argus。茶色い蛇の目紋が渋い。

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ハナカタゾウムシP. congestus。地色が青っぽいタイプ。

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P. congestusは普通種ですが、斑紋の変異がとても多様なことで知られています。

これもP. congestus。前胸背が青、鞘翅が緑というあまり見かけない型です。

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これは似たようなパターンの蛇の目紋ですが、別種と思われます。種名はわかりません…。

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P. orbiferの白っぽい型。本種の色彩変異の幅は驚異的で、ギラギラにラメっているのから真っ黒なものまで、様々なものがいます。てんでばらばらな模様の標本を前にすると、果たして同一種なのかと首をかしげたくなることもしばしばです。

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P. inclytus。普通は真っすぐに伸びる縦筋が、途中で途切れています。

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今回取り上げた種については、いずれも在庫は1、2頭しかありませんので、気になるものがありましたらお早めにどうぞ。